休講中だった栃木県農業大学校の「とちぎ農業未来塾」。
5月14日に39の県で緊急事態宣言が解除され、学校内での研修がようやく始まりました。
先進農家さんでの現地実習は行われていたものの、やっと本格的に研修が実施されるようになり、嬉しい限りです。
5月に研修で学んだことのメモ書きです。
現地実習(農家実習)
①イチゴの収穫
4月に引き続き、とちおとめの収穫をしました。
収穫量は日によって結構バラツキがあり、そのため、収穫にかかる作業時間も長くなったり、短くなったりしますね。
果房に実が付くタイミングによって、収穫の山や谷がある感じですね。
また晴れて気温の高い日の翌日は、実の色付きが早くなるので、収穫量は多めになります。
逆にくもりや雨で気温が低くなった日の翌日は、収穫量は少ない傾向にあります。
この時期のイチゴは、厳寒期の頃のイチゴと比べると、甘みが薄くなるようです。
これは、イチゴの実が温度によって色付くスピードが変わるためで、
気温が高いと色づくスピードが速く、イチゴに甘みが充分に乗る前に、収穫時期を迎えてしまうかららしいです。
気温が低い厳寒期はゆっくり色付いていくので、その間にイチゴに甘みが乗るとのこと。
この時期になるとイチゴの価格が下がってくるため、収益性の面でほとんどのイチゴ農家さんが5月中には収穫を打ち切るそうです。
②イチゴ株のかき取り
収穫の終わった本圃にて、イチゴ株をかき取りました。
いろいろやり方はあるようで、根っこごと掘り起こして圃場外で処分したり、クラウンの上部だけをかき取って根は圃場に残したままにしたり、灌水を止めて枯らせてから圃場の中にすき込んだりと、方法は千差万別のようです。
病気のリスクとなるような残渣を圃場に残さない考え、緑肥として利用する考え等、自身の方針でやり方を決定する必要がありますね。
③本圃ハウスの片づけ
収穫が終わりを迎えるので、必要のなくなったものから徐々に片付けていきます。
ハチの巣箱、二酸化炭素発生器、硫黄燻煙器、妻面のビニル外しなど。
③親苗管理
次期のイチゴ株(子苗)を育てるため、親苗の管理を行いました。
研修先の農家さんでは、地床栽培で親苗から子苗を作っています。
昨年11月ごろに地床に定植した親苗を、冬の間休眠させ、春以降に伸びるランナーから子苗をとっていきます。
この時期の作業としては、親苗への追肥、子苗床への施肥、親苗のランナーを子苗床へ誘引。
校内実地研修
①いちご株の撤去と畝崩し
大学校内の実地研修用のイチゴ株を撤去しました。
このイチゴ株は前年度の研修生が育てたもの。
品種はとちおとめ、スカイベリー、とちひめ、ミルキーベリー。
株を除去した後、クワ等で畝を崩し、圃場を平らにする。
その後、トラクターで圃場を走行して、鎮圧した。
②農業資材の消毒
農業用消毒剤(イチバン)で、農業資材を消毒しました。
プランターやすくすくトレイ、ゆめまくら等、繰り返し使う農業用資材は、使用後、使用前に消毒する。
資材を殺菌することで、カビなどでイチゴが病気になるのを防ぐために行う。
③親苗管理
スカイベリーの親苗にて、すくすくトレイ(24穴)に培土を入れ、子苗受けの準備。
子苗用の培土は、追肥で窒素分が調整できるよう、窒素分のない培土を使用する。
窒素分が多いと花芽分化しにくくなるため。
とちおとめ親苗(ナイアガラ)、スカイベリー親苗(すくすくトレイ受け)のプランターに追肥。
講義
①野菜栽培の基礎
・野菜の定義
主に副食に供される1年生作物。
・野菜栽培の動向
野菜の摂取量は減っている。重量野菜から軟弱野菜へ移行か。
・野菜の分類
利用部位による分類(根菜類、葉茎菜類、果菜類、イモ類)
自然分類(アブラナ科、バラ科、ナス科、etc)
②肥料成分について
・土壌分析の必要性
土壌の酸度や肥料分がどのくらい残っているかを土壌分析により把握し、施肥設計を行う。
・肥料の五要素
窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)
※チッソ、リン酸、カリ、石灰、苦土
・施肥の順番
最初にアルカリ性の堆肥、石灰、苦土を入れ、その後、酸性のチッソ、リン酸、カリを施肥する。
・肥料成分の見方
肥料は1袋20kgが相場。
成分割合を表す15-15-15はN、P、Kがそれぞれ15%(3kg)ずつ入っているということ。
いちご病害虫情報
いちごの害虫
1.ハダニ類
2.ハスモンヨトウ
3.アブラムシ類
4.アザミウマ類(スリップス)
いちごの病害
1.炭疽病
2.萎黄病
3.灰色かび病
4.うどんこ病
イチゴの病害虫においては、診断、同定、防除のサイクルをこまめに行い、早期発見、早期防除を徹底すること。
防除の際に、農薬を使う場合、イチゴ適用の農薬を使用回数を守って、使うこと!
ルールを破ると地域での出荷停止もある。
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